表裏一体

 私は性行為の経験がないですし、映像作品などで見たこともないのでよく分からないんですけど、恍惚の表情って得てして苦悶に満ちたような顔らしいじゃないですか。いや、全く知らないんですけどきいた話によると。

 

 本来快楽を得ているはずなのに表情が何故か苦しんでいるかのようになってしまうのはこれもまた、表裏一体ということなのでしょうか。

 快楽とは苦痛になり得るもので逆もまた然りだとしたら。快楽は苦痛を限りなく薄めたものだという言説もあります。源には苦痛があり、一定以上に快楽を得たとき、それは苦痛として働くのではないのでしょうか。至上の快楽を手に入れたはずが一転して苦痛へと変わる。何事にもバランスが必要であり、良いものも過剰な摂取はよくないのです。サプリメントにも、薬にも一日の摂取許容量があり、それを越えると良い働きをしなくなるどころか悪い働きをし始めます。きっとそれと同じことなのでしょう。あまりの快楽に苦痛が顔を出し始めてしまった。

 そうなると我々は苦痛を抑えるために快楽も抑えなくてはならないのでしょうか。逆に自ら苦痛を与えることによって快楽を生み出す人もいます。多分、過剰な苦痛は同じように、快楽がひょっこりとこちらを覗いてくることになるのでしょう。そう考えるとバランスよく摂るのがいいのか規定量を軽く越えるような過剰投与が最適なのか分からなくなってきます。一日三食食べるのが健康にはいいはずですが、その一方で断食も身体にいい面があるみたいです。寝すぎも全く寝ないのもきっと身体に悪いでしょうからすべての物事に通用する理論ではないですけど。

 

 この話は、何かのTVで苦悶の表情を見せると、セックス中の顔を想起させ、男を落としやすいというテクニックを見た時に思いました。女性が怖すぎる。