平ジェネ、見た

平ジェネ、見た

 書かずにはいられなかった。「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」を観ました。通称「平ジェネ」らしいです。

 ヤバいとしか言えない映画でした。これは衝撃でした。備忘録も兼ねた感想を書きます。ネタバレ配慮はしません。

 

 

ライダー歴

 ライダー歴はそれほど深くなく、最初にTVで観たのが確か仮面ライダーアギトです。その後、龍騎、555まで観ていました。剣からオーズまでリアルタイムでは視聴していない期間があり、フォーゼ以降またテレビで観ています。DVD等で観た作品が、電王、W、オーズです。昭和はわかりません。オーズはついこの間、映画公開前に一気に観ました。とてもおもしろく、ついCSMオーズドライバーを予約してしまいました。

 

 

感想

 とにかく、めちゃくちゃ面白い。昨年の平成ジェネレーションズもなかなか面白かったですが、余裕でそれを越えてきました。あまりライダー映画では見ないようなカメラワークが多く、新鮮さを感じました。上堀内監督だからでしょう。パンフレットの演者のコメントにもカメラワークに関することが多く書かれていました。

 

 

 内容はオーズだよ、あれは。仮面ライダーオーズへの愛が重い。重すぎる。今回登場したレジェンドライダーはオーズの他、フォーゼ、鎧武、ゴーストで、どれも本編のその後として、設定に即した登場の仕方やキャラクターとの絡みを見せます。(鎧武だけ何か雑) 特にオーズパートの気の入れようが凄かったです。

 

 

オーズ

 火野映司とアンクの邂逅、共闘、別れが描かれていますが、これが最終回をギュッと凝縮したような、オーズっぽさが出てる描写でした。最終回を彷彿とさせる空中の映像だったり、タジャドルだったり。二次創作的だと各所で言われる通り、オーズ本編中で聞き覚えのあるような台詞が出てきます。最終回の再現というべきか、最終回でできなかったことをやり直したというべきか。

 あの時掴めなかったアンクの腕を今回掴むことになるわけですが、「お前が掴む腕は、もう俺じゃないってことだ」ったために掴むことができなかったのに今回掴めてよかったのか、という問題がありました。あの台詞は、映司が誰かを頼っていい、自分の手の届く範囲ではなく、人と手を繋ぎ協力すればいいのだと気付かせたものなのだから。だからアンクは、いや小林靖子は掴ませなかったんじゃないかと推測しますが、平ジェネではアンク(偽物とはいえ)の手を掴みます。他者の中に勿論アンクも含まれており、あれから様々な人との交流があり、本編終了から6年、彼も同様に年をかさねており、やっと掴めた、今なら掴んでもいい”腕”だったのかもしれません。

 「いつかの明日」というワードはMOVIE大戦MEGA MAXに出てくるアンクが復活する日なわけですが、それが今日この日だったんだ、と映司が言うシーンがあります。しかし、結局は偽物のアンクに割れたタカメダルの欠片が入り込んだ一時的な仮の復活にすぎなかった。二人はまたいつかの明日まで別れることになります。最後のアンクの表情がやばすぎる、ピクピクする瞼がヤバすぎる。

 

フォーゼ

 フォーゼ勢からは、如月弦太朗の他、JK、大杉忠太も登場。MOVIE大戦アルティメイタムの前日譚ということで非常にタイミングが良かったと思います。絶対に登場することができない賢吾とユウキについても触れられていたのがよかったです。以外とJKが活躍していて、今回きっとアンク復活のためだけに駆り出された財団X(めちゃくちゃ影が薄かった)を知っている者として調査している感じがよかった。とてもJKでした。

 弦太朗も当時と変わらない様子で、演技力も当時の福士蒼汰のままでした。きっとあれは当時に寄せた演技をしているのでしょう。アルティメイタムで演じた5年後の弦太朗を再現しなければいけないわけですから。いや、演技のうまい如月弦太朗がいたら違和感の塊ですから。福士蒼汰はあれでいい。

 

 

鎧武

 昨年の平成ジェネレーションズに出なかったことから、佐野岳はもう仮面ライダーと関わることはないのかと思いきやまさかの出演。登場シーンこそ少ないものの、神様のカットもあり、地球では初期の紘汰を彷彿とさせる出で立ちで、Don't say No JUST LIVE MOREでした。カチドキアームズになるのが最高でした。鎧武勢からは他のゲストがなく、残念でした。ここでミッチがヨモツヘグリの副作用で死んだりしたら面白かったと思うのですが。

 

 

ゴースト

 あれ、ゴーストってこんなにかっこよかったけ。タケル、こんなに頼もしそうだったっけ!?!?!? ちょっと見ないうちに大きくなっちゃって!!!

 Vシネスペクターといい、本編終了後にゴーストが再評価されるのが良いですね。本編でもそういうところが見たかった。あの茶番でしかなかった昨年のタケルの死ぬ死ぬ詐欺も今回、永夢先生に救われた命~~などと言う台詞で生きてきます。結果的に命がぞんざいに(?)に扱われたゴーストだからあのシーンはまたやってるよとしか思えませんでしたが、死ぬって重要なことですからね。一度死んでいるタケルならなおさら。(実はタケルは最初の期限で父親に救ってもらっただけで何度も死んでるわけじゃないんだけど何故かそのイメージがつきがち)

 

 

エグゼイド

 もちろん、エグゼイド勢も活躍します。一年間がんばったね、お疲れ様という感じ。もう彼らは安心して観れますし、懐かしかったです。あの武器だけ持つやつ、かっこよかった……去年の平ジェネがそうだったんですけど、生身アクションはかっこいいんだけど変身できるのになんでしないの? という疑問も起こってくるので今回は変身ができない、という理由付けがされているのがよかったです。

 また、今回永夢が最後まで変身できず、最後の変身に力が入っていてよかったです。レベル1を当たり前のようにすっ飛ばしましたけど。

 

ビルド

 ビルドももちろん活躍します。現行ライダーですから。万丈にも主人公か? というくらい役割が与えられ、マスターもかっこよかったです。本編ともリンクしており、昨年の永夢の秘密が直接的に明かされたのに対し、今年は「あれ、もしかして?」と思わせるような戦兎の記憶に関する話がでてきます。きっと、そういうことなのでしょう。

 前述の通り、万丈が良くも悪くも役割を与えられており、彼の成長にも繋がっているのではないかと思います。偶然にも仮面ライダーになってしまい、仮面ライダーでいる理由を探せない万丈くん。それに対する答えを先輩ライダーが指し示してくれます。仮面ライダーとは何か、という仮面ライダードライブが一年間を通してやり遂げたようなことをこの映画ではやってくれました。だからこそ、今回ドライブが出てくれたらかなり熱かったのですが残念ながら。

 

                                        

 

仮面ライダーと正義

 

 彼らはそれぞれ、理由を持って仮面ライダーとして戦う。たとえそれが間違っていようと信念を突き通して戦うんだよ彼らは。

戦うことが罪なら俺が背負ってやる

ってね、乾巧は言いましたけれども、もしかしたら間違っていることかもしれない。"正しく"はないのかもしれない。正義っていったいなんだろう。

見返りを期待したらそれは正義とは言わねぇぞ

と、戦兎が言ってたりね。

正義の味方は正義以外の味方を決してせず
そして正義以外の敵だ

そこには偽るべき要素は何もない
つまるところ、正義とは全員に対する裏切り者なのだ

阿良々木くんはこう言ってる。

 

 正義って、人によって解釈や定義が違っていたりするんだよね。影縫さんが

「おどれがどんな価値観持とうと、どんな正義感持とうと勝手やけれど――そんな理想を他人に押し付けんなや」

 

と言っているように、それぞれが異なる正義感を持っている。偽物語はただのエロ小説、アニメだと思ってたけど正義について書かれたものでもあったんだよ。 

 万丈は正義、自分なりの正義を見つけられずにいた。他の仮面ライダーが自分の命を犠牲にしてまで戦う理由がまるで分からなかった。「ラブアンドピース」と言われても嘘くさいと思ってしまうほどに。彼らはきっと、理想の正義感を実現できている人たちでそんな様子を見せつけられているのが万丈にとっては正義感の押し付けに感じられたのかもしれない。自分も仮面ライダーとしてこうならねばならないのか、しかし見返りも求めず戦う理由が見出だせない、という葛藤が見られる。映司は「いつか君にも分かる」と言っている。最終回で、自分の腕の届く範囲だけじゃなくていいと気がついた彼だからこその台詞であり、今すぐに答えを探す必要はなく、戦う中で見つけていけばいいと言っているように思える。そしてきっと、最後変身した時万丈は戦う理由の一つを見つけ出したのだろう。

「俺は仮面ライダークローズ」

やっと万丈が仮面ライダーになれたような気がした。そんな映画だった。